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故郷の湖や山や小川の名は、わたしはまだ知らなかった。しかしわたしは、青みどりの色のなめらかな水面に無数の小さな光を浮かべている湖や、それをきっちりと取りまいている切り立った山々を見た。山々の最も高い割れ目が、きらきらと輝く雪渓になったり、小さな、ちっぽけな滝になったりしているのを見た。山々のふもとの傾斜した明るい草地に点在する果樹や、小屋や、灰色のアルプス牛などを見た。そしてわたしの哀れな小さな魂はいかにも空っぽでひっそりとして、何かを待っているばかりだったから、湖の精や山々の精が、その美しい大胆な行為のかずかずをわたしの魂に書きつけたのだった。 郷愁 - ヘルマンヘッセ より